THE YURI TIMESでは、漫画『どれが恋かがわからない』(KADOKAWA/以下、『どれ恋』)の著者、奥たまむし先生にインタビューさせていただきました。「好きな人ができすぎ!」てしまうハイスピード百合コメディとして、百合オタクの皆さんの間でも話題の本作品は、英語版が発売され、海外でも話題です。第二回目では、奥たまむし先生のことや、先生からのメッセージ、また色紙とクリアファイルのプレゼントもあります!

©奥たまむし/KADOKAWA

▼インタビュー記事の英語版はこちら▼


— 『どれ恋』の企画の準備にどれくらい時間がかかったのですか?

【コミックキューン】ってなんでもいいんじゃないのって思ってたのに、どのアイディアも全ボツで、半年くらい連載が始められなくて。編集さんに「漫画家って大変なんですね」と言っちゃったら、「普通ですよ」と言われました(笑)特殊設定があったって面白い作品は描けるのに……でも、今となっては、このカタチになって良かったと思います。

— それだけ準備に時間をかけた作品ということは、先生には推しのキャラクターはいますか?

いるけど、言ったら面白くないので(笑)それぞれのキャラクターに好きな人のタイプを詰め込んでいるから、全員好きだけど、恋人というか憧れみたいなところで特に好きなキャラがいるけど言えません!将来、どこかのタイミングで言います(笑)

— 一巻は気になるところで終わっていますよね!

三角関係みたいなところを読者の方が読みたいかなと思って、サービス的な意味で、気になるところで終わっています。長い目で見て面白いということも考えて今作は描いているので、ヒキがあります。私はあんまり好きじゃないんですけど(笑)単行本だと読み終わってから、「あと半年待たなきゃいけない!」みたいになるから、待つのがキツイんですよね。好きな漫画はなるべく月刊誌で読むようにしています。

©奥たまむし/KADOKAWA

森永みるく先生の『ガールフレンズ』が大好きで、連載当時、隔月更新だったので、待ちきれず、自分で続きを描いていました。それが何回も起こるから、めっちゃ漫画を描く練習になりました(笑)pixivに投稿したり、同人誌を出していて、そのうちオリジナル作品も出すようになったら思っていたよりもウケがよくて。そんなときに、【まんがタイムきららミラク】の編集さんから声がかかって商業誌デビューすることになりました。

— 先生はいつから漫画を描くようになったんですか?

小さい頃から絵や漫画を描いていたんですけど、高校生の頃に演劇にハマって。そこから大学ではずっと演劇をしていました。卒業してからも劇団を続けていましたね。365日演劇をしていて、漫画は描いていませんでした。小さい頃から楳図かずお先生が大好きで、演劇をやるようになってから寺山修司が好きになり、アングラとか、闇の感じが好きになりました。森永みるく先生の漫画に出合うまでは闇の人間でしたが、『ガールフレンズ』を読んで浄化されて「私がいちばん好きなのがこれだな!」と。

最近では、SNSでいろいろな百合作品が流れてくるので、百合ジャンルに触れられるけど、昔はSNSがなかったから、百合を知りませんでした。ジャンプ系の漫画が好きでしたが、百合っぽい作品もずっと好きだったんです。少年誌だと男の子ばかり描くことになるけど、女の子を描き始めたら「これこそが私の生きる道!ここしかない!」と思いました。もっともっと百合が広まって欲しいですね!今はまだ、好きになった人がたまたま女の子だったという百合作品の方が多いですが、私はごく自然に女の子が恋愛対象の女の子を描きたいという理想がありまして……なので、一巻の最初でメイちゃんには「彼女をつくる!」と宣言させました。

— 巻頭カラーでメイちゃんが「彼女をつくるために大学に入学しました!!」と決意しているシーン、私たちも大好きです!

メイちゃんは失恋して、ヤケクソになってそういうことを言っているだけなんだけど、こういう風に描くのは勇気がいりました。そうしてしまうと、読み手が減ってしまうのではと……。でも、X(旧Twitter)で海外の方にもこのシーンが受けているのを見て、みんなもモテたいのか同じようなことを考えてるんだなと思って。海外の読者さんは感想の表現が豊かで、海外の人とも喋ってみたいですね。作者に見られていないと思っているだろうけど、見てます(笑)

©奥たまむし/KADOKAWA

— 漫画を描く上で、特に大変なことはありますか?

全部です(笑)このインタビューを受ける前にも作業をしていたのですが、四コマくらいしか描けなくて。コマが小さくても同じだけ大変なんです。たまに、ちょっとだけ手伝ってもらうこともありますが、基本的にはアシスタントもいなくて、全部一人で描いています。下書きの時点で頑張っているので、ペン入れのときは感情が入らず、まるで写経をしているみたいです。

自分と近い存在の普通の女の子が当たり前に女の子を好きになるとか、私にも描きたいものはあるんだけど、演劇みたいに皆と一緒にやりたいなと思うときもあります。アニメ制作みたいに、いろんな人がいることで調整が難しくなったり、喧嘩しても最高の作品が作れたり、そういうのに尊さを感じます!

『どれが恋かがわからない』のネームも見せていただきました!

— ファンの皆さんに向けてメッセージをお願いします!

海外の皆さんが作品を考察したり、楽しんでくださっているところを時々見かけると、一緒にお喋りしたいなと思います。どのように楽しんでいただけているのか不安ではありますが、同じような気持ちでシーンに一喜一憂してくださって、共感してくださってるなら、それが一番嬉しいし、描いて良かったなと思います。これからも一緒に気軽に楽しみましょう!

— 奥たまむし先生、お忙しい中、インタビューの機会をありがとうございました!これからも『どれ恋』を楽しみにしています!


プレゼント企画

奥たまむし先生の直筆イラスト色紙(1名)と、直筆サイン入り『どれが恋かがわからない』クリアファイル(1名)を抽選でプレゼントいたします。

以下のフォームに必要事項を記入の上、申込ください。当選された方には、後日メールにてご連絡いたします。(申込締切日:2023年12月25日)

***受付は終了しています、ご応募ありがとうございました。

©奥たまむし/KADOKAWA

人の数だけスキがある。

主人公・空池メイは高校の卒業式に片想いしていた友人に告白……

しようとするも失敗してしまう。

そのため「大学でぜったい彼女をつくる!」

と意気込んで入学するのだが

なぜか次々とメイのもとに女の子たちがやってきて……!?


奥たまむし・プロフィール

2014年『宮守♡タイフーン』でデビュー。代表作に『明るい記憶喪失』(全6巻/KADOKAWA刊)がある。アンソロジーへの参加や、【百合ドリル】の企画など、多方面で活躍する注目の作家である。『どれが恋かがわからない』(KADOKAWA刊)を連載中で、単行本は3巻まで好評発売中!


本インタビューは2023年9月に百合カフェアンカーにて実施しました。百合カフェアンカーさん、ご協力ありがとうございました。


▼奥たまむし先生インタビュー(第一回)はこちら▼