
THE YURI TIMESでは、漫画『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(徳間書店)の著者、平尾アウリ先生にインタビューさせていただきました。アイドルとオタクを題材にしたこの漫画は、「推し」という言葉を広めたきっかけとも言われており、シリーズ累計発行部数は100万部を突破、アニメ化・実写ドラマ化に続き、5月には劇場版の公開も予定されている大人気の作品です。第一回目では、本作品が生まれるきっかけや、キャラクターのこと、平尾先生のご経歴などを伺いました。
このインタビュー記事は以下リンクから英語でもお読みいただけます。
THE YURI TIMES:この度は、『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(以下、『推し武道』)の英語版の発売、おめでとうございます!
平尾アウリ先生:ありがとうございます。
大人気の『推し武道』が英語でも読めるようになって、とても嬉しいです。『推し武道』はどのようなきっかけで生まれたのでしょうか?
以前、別の漫画を連載をしていた徳間書店のCOMICリュウさんで「新しい企画として、ウェブで毎日連載する漫画を書きませんか?」とお声がけいただいたのがきっかけです。「毎日、4ページの漫画を更新する予定」と打診されましたので、様々なジャンルを網羅して、たくさんの案を出すことにいたしました。その中の一つに、アイドルとオタクをテーマにしたものがあったのですが、「とてもいい!」と、担当編集の方の目に留まりました。担当編集の猪飼さんもアイドルがお好きなので・・・。
それが『推し武道』になったのですね!
はい、思いがけず、連載の作品となりました。
アイドルとオタクをテーマにした理由はありますか?
「毎日更新」とのことでしたので、そのときは数え切れないほどのアイディアを出していました。ですから、アイドルやオタクというのも、そのうちのテーマの一つであった、という感じでしょうか。本当は、4ページの漫画としてさらっと終わる予定だったのですが・・・。
ちなみに、その際に取り上げられなかったテーマはどうなったのでしょうか?
他のテーマのいくつかは、『青春の光となんか』(竹書房)で描きましたね。
平尾先生の大ファンなので、『青春の光となんか』も読んでいます!百合ジャンルだけでなく、幅広い内容を描かれていますよね。平尾先生が描かれる漫画はどれも面白くて、大好きです!
作品に登場するオタクのキャラクターはとてもリアルに感じられると評判ですよね。たくさんの方が共感しているように思います。
私もオタクなのですが、オタク友達の話を参考にしている部分もたくさんあります。たとえば、えりぴよが鼻血を出すシーンも、友人のエピソードです(笑)
あのシーンが実話なんですか?!

はい。友人は、ライブ中に鼻血を出したまま最後まで観ていたのですが・・・(笑)ちなみに、友人のエピソードだけでなく、本作品を描くにあたっては、取材もしていました。地下アイドルの現場にこっそり足を運ぶこともありましたよ。
平尾先生のご経験や、取材、そしてお友達の方のエピソードが、『推し武道』のリアルさ、そして、読者の共感に繋がっているんですね。
『推し武道』に出てくる地下アイドル【ChamJam】のキャラクターについてはいかがでしょうか?
アイドルの皆が個性豊かになるように意識してキャラクター作りをしました。漫画として、おもしろくなるようにしたいという気持ちもあり、「いろいろなキャラクターがいるといいな」と。いざ取り組んでみると、自然とアイディアが湧いてきましたね。
平尾先生は漫画を作ることに本当に長けていますもんね!
そうおっしゃっていただけると嬉しいです。とはいえ、7人グループのアイドルを描くのは思っていたよりも大変でして・・・。

平尾先生は、最近の漫画家さんの中ではめずらしく、アナログで漫画を描かれていますよね?
はい、『推し武道』はアナログです。物心がついた頃から絵を描くのが好きでした。8歳くらいのときに初めて漫画を完成させたと思います。
そんなに小さい頃から?!
6歳の頃からの幼なじみの友人達が、漫画を描いていて、その影響です。
デジタルで漫画を描く漫画家さんが多い中、アナログで描いているというのは本当に貴重な存在だと思います。
デジタルでもできるのですが、『推し武道』の漫画はアナログで描き続けたいと思っています。完成させるには時間がかかりますが、頑張って描いています。
平尾アウリ先生へのインタビューは第二回に続きます!次回は、オタクのキャラクターのことや、制作背景について、そしてファンの皆様へのメッセージもありますよ。平尾先生にいただいたサインも公開します。

平尾アウリ・プロフィール
岡山県倉敷市出身。第2回龍神賞<銀龍賞>を受賞。2015年より『推しが武道館いってくれたら死ぬ』連載開始。シリーズ累計発行部数100万部を突破する大人気作品となり、2020年にアニメ化、2022年に実写ドラマ化され、2023年5月に劇場版が公開予定。同作品は中国語簡体字版、中国語繁体字版、韓国語、英語版が発売されており、海外でも人気を博している。
平尾アウリ先生と、THE YURI TIMESのCo-founder 藤代あゆみが2021年に行った対談は『推し英語入門』(アルク)より日本語・英語でお読みいただけます。
第二回インタビュー記事は、以下のリンクからご覧ください。